建設業の独立準備/株式会社の設立

株式会社を設立する

株式会社の設立

法人として事業を始めるとなると、建設業の場合は株式会社を設立するのが一般的です。

 

これまでは、小規模な会社を設立する場合は「有限会社」というイメージがありました。ところが、2006年に「会社法」という法律が施行されたことで有限会社を新しく設立することができなくなりました。会社法によって、株式会社の設立要件が緩和されたため、有限会社よりも簡単に株式会社を作ることができるようになりました。これから会社を作りたい人は、株式会社または持分会社での設立となります。

 

株式設立は設立の手続きが必要になりますので、個人事業のように届出ひとつですぐに始められるものではありません。それでは、少し説明が長くなりますが、会社設立の流れをみていきましょう。

 

株式会社を設立する

 

以上が会社設立のおおまかな流れです。
それでは、順番に要点を説明していきます。

会社の基本事項を決めましょう

まずは、「商号(会社名)」を決めましょう。
株式会社の商号を決める場合のポイント!を見ていきましょう。
【ポイント1】
商号の中に必ず「株式会社」という文字を入れる必要があります。
例)「○×△株式会社」または「株式会社○×△」
【ポイント2】
数字やローマ字を使うこともできます。ただし、記号は使えるものが決まっています。「&」、「−」、「.」、「/」、「・」、「’」が使えます。
【ポイント3】
異なる業種の言葉は使えません。たとえば、銀行ではないのに「○×△銀行株式会社」とすることはできません。他にも「病院」や「学校」なども同様です。
【ポイント4】
支店や部門名を入れることはできません。「○×△埼玉支店株式会社」はダメ!「株式会社○×△営業部」もダメです!
【ポイント5】
公序良俗に反する商号は認められません。「殺し屋 株式会社」や「株式会社 麻薬密輸」などはダメです!こんな名前の会社は、見たことないですよね。
【ポイント6】
同一の住所に同一の商号の会社がすでに存在している場合はその商号は使えません。 
【ポイント7】
全国的に有名な大企業などと同じ商号は不正競争防止法違反になりますので使えません。
例)NTT、トヨタ、花王、富士通などのような有名な企業の名前は使えません。
【ポイント8】
1つの会社には1つの商号しか使えません。

 

商号が決まったら、こんどは「事業の目的」を決めましょう。
「事業の目的」とは会社が行う事業の内容です。
建設会社であれば、どんな工事をするのかを決めます。
例えば、電気工事、土木工事、大工工事など。

 

事業の目的は、定款に記載することになります。定款に記載されていない事業をすることはできませんので、将来やりたい事業も考えておくと良いでしょう。特に営業に許可が必要な、産業廃棄物の収集運搬や中古品の買取販売などは、許可を取るときに事業目的にその事業が記載されている必要があります。

 

事業目的は、わかりにくいと登記申請に通らない可能性もありますので、できるだけ具体的に書いておきましょう。できることなら、事前に法務局で確認しておいたほうがよいでしょう。

 

次に会社の「機関」を決めます。会社の意思を決める組織のことを機関といいます。機関には次のようなものがあります。
 @株主総会 (必須)
 A取締役 (必須)
 B取締役会
 C監査役・監査役会
 D会計参与
 E委員会
 F会計監査人
ここでは、小さく起業することを考えていますので、株主総会と取締役1名のみを置いた最も小さな機関設計としておきましょう。設立後に定款と登記を変更することで機関を変えることもできます。

 

次は、「資本金」の額を決めます。
「資本金の額はどうやって決めればいい?1円でもイイって聞いたけど。」
確かに法律上は、1円でも作れるのですが・・・。
設立後すぐに建設業許可を取るのであれば、できれば500万円を資本金にしておくと、許可の資金要件を満たすことができます。

設立に必要なモノをそろえましょう

【印鑑】
・会社の代表者印
 実印として登録されます。代表者印は登記申請の際に必須です。契約書などの重要な書類には、代表印を押します。
代表者印は規格が決まっています。「一辺の長さが10ミリ以上30ミリ以内の正方形に収まるもの」とされています。ハンコ屋さんに注文すれば、規格に合ったものを作ってくれますので、あまり深く考えなくても大丈夫です。
・角印
必ず必要なわけではありませんが、見積書や請求書などの書類に押したりします。
・銀行印
 会社名義の銀行口座を作るときにあると良いでしょう。
・ゴム印
 実務上あると便利です。
【銀行口座】
出資金を払い込むための口座が必要です。特に新しく口座を開設する必要はありません。代表の発起人の個人名義の口座を使います。会社名義の口座は、設立した後に作ります。
【印鑑証明書】
@定款認証時に必要:出資者全員の印鑑証明書 各1通ずつ
A登記申請時に必要:取締役の印鑑証明書 1通
※取締役が出資者でもある場合は2通必要ということになります。

定款(ていかん)の作成と認証

「定款・・・?」あまり聞きなれない言葉ですよね。定款とは、会社の法律のようなものです。とても重要なことが記載されています。株式会社を設立するには、必ず「定款」を作らなければいけません。定款に必ず記載しないといけないのが次の事項です。
 @事業の目的
 A商号
 B本店の所在地
 C設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
 D発起人の氏名(名称)および住所 
これらの5つの事項が書かれていないと定款全体が無効になってしまいます!その他にも定款に記載する事項はたくさんあります。ただし、定款を本当に理解して作るためには「会社法」っていう法律の知識が必要になるのです。
株式会社の定款は、作っただけでは効力がありませんので、公証役場で公証人の認証を受けます。会社の所在地の都道府県内にある公証役場で認証を受けます。定款ができたら、一度公証人にチェックをしてもらいましょう。事前に電話で連絡をして、定款をFAXなどで送り、確認してもらいましょう。定款に問題がなければ、認証の日時を予約して公証役場へ行きます。

 

発起人が複数人いる場合は、原則全員で行きます。1人の発起人に委任する場合は、委任状が必要です。また、発起人以外の第三者に代理を頼むことも可能です。その場合は、委任状、代理人の実印、代理人の身分証明書が必要です。当日、認証が終わったら、定款の謄本を受け取ります。定款の認証が済んだら、こんどは資本金を払い込みます。

出資の払い込み

【預金口座】
資本金は、発起人の個人の預金口座に払い込みます。銀行または信託銀行の預金口座を使います。
【払い込み】
定款の認証後の日付で振り込みをします。払い込みをする発起人の名前が確認できるように振り込みをします。本人の口座でも、自分の名前で振り込みを行います。全ての発起人が払い込みを終えるまでは、預金を引き出さないようにしましょう。 
【払い込みの証明】
設立登記をする際には、資本金が払い込まれたことを証明する必要があります。

会社設立の登記

いよいよ最後の手続きです!定款の認証が無事におわり、資本金を払い込んだら法務局で設立登記の申請をします。登記申請書と登録免許税納付台紙をかさねてとじます。登録免許税納付台紙に15万円分(資本金の額により異なる場合があります)の収入印紙を貼ります。さて、書類が整ったらいよいよ法務局へ。法務局の会社・法人登記あるいは、商業登記の窓口へ書類を提出します。法務局の込み具合によって異なりますが、だいたい1〜2週間程度で完了します。

 

登記が完了したら、印鑑カードを受け取ります。その後に、登記簿謄本や印鑑証明書を発行してもらいましょう。登記簿謄本は、税務署、市町村、県税事務所、銀行、その他へ提出することが多いので、数部とっておいたほうが良いでしょう。以上が、取締役1人で株式会社を設立するときの手続きの流れとなります。

 

>> 建設業許可を取るには?

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