建設業の原価管理/実行予算/現場担当者の儲ける力

売上増加中の社長が今すぐやるべきコト!

なぜ、中小建設会社は売上が増えると経営危機に陥るのか?

 

おそらく、この記事を読んでくださっている人は
「売上は増えているけど、何か違和感がある・・・」
「本当に、このまま突き進んで大丈夫なのか?」
と感じている中小建設会社の経営者だと思います。

 

多くの中小建設会社では、売上3億円あたりで経営の黄色信号が点灯し始めます。社長は、どうしても売上を経営の目標にしていることが多いので、黄色信号に気が付かないことも多いです。そして、その黄色信号に気が付かずに、さらに売上を伸ばしていくと、売上5億円の壁にぶち当たり、経営危機に直面します。
なぜ、売上は伸びているのに経営が悪化するのでしょうか?

1.売上が増えると経営が悪化する理由とは?

売上が増えると・・・
社員が足りなくなります。
新しい機械や車が必要になります。
広い事務所や倉庫が必要になります。
そして、多くの社長が少しだけ気が大きくなります

 

社長の気が大きくなると、人材や設備、その他に費用について「過剰な」支出をしてしまいがちです。「過剰」というのは、必要以上のダンプや重機を購入してしまう、高級外車に買い替えてしまう、節税という理由で高額な生命保険に加入してしまう、土地を購入して社屋を建ててしまう、つい勢いで支店・営業所を設置してしまう、などが考えられます。また、今までは、外注業者や材料商社、レンタル業者などへの金額も交渉して、切り詰めてやり繰りしていたものが、だんだんとゆるくなってきます。そうすると、いつの間にか固定費が肥大化して、それを賄うために、さらなる売上拡大に走ります。これが悪循環への入口なのです。

 

売上は増加しているのですが、社長は、だんだんと経営に不安や違和感を感じ始めます。経営の状況が分からいないので、どうしたらいいのか迷い、そして、あせり始めます。そのあせりから新しい事業を始めてしまい、さらに収益性が悪化してしまうこともあります。新しい事業を始めることは大切ですが、あせりから始めた新規事業は上手くいかないケースが多いように感じます。もし、これらのことに思い当たるようであれば、黄色信号、もしかしたら赤信号が点滅しているかもしれません。

 

「売上は増えたのに決算で思ったよりも利益が出ていない」
社長は1年間の売上がいくらなのかについては、おおよそ把握していると思います。それなのに、思ったよりも利益が出ていないということは、社長が思っている以上に費用がかかっているということになります。それでは、どんな費用が思っていたよりも多かったのかわかりますか?
「売上が増えているのに資金が無い」
売上増加にともなう必要運転資金がどれだけ増えているのかわかりますか?借入金を返済した金額は、決算書のどこに表れているのかわかりますか?
これらの原因がはっきりと分かっていないようであれば、このまま突き進むと経営危機に陥る可能性が高いです。

2.小さな建設会社でもデキル!経営数値の「見える化」

【売上:数千万円〜2億円程度】この時期からの準備が後々になって効いてきます!
建設業で儲けるためには、「事務所経費などの固定費を最小化して、変動費である工事原価の管理を徹底すること」が重要です。まずは、現場で利益を出すことを最優先に考えましょう!⇒小さな建設会社が工事利益を増やすために今すぐヤルべきこと!

 

売上が伸び始めるこの時期に、数値管理の仕組みを整えて経営数値を「見える化」しておきたいところです。経営数値を「見える化」するための第一歩として、現場ごとの収支を把握できるようにしましょう。そして、集計した現場ごとの収支をもとにして、どの顧客、どの工種が儲かっているのかを把握できるようにしましょう。

 

「できるだけ簡単に利益を増やすためには、どんな方法で、どんな数値を管理するればいいのか?」
数値管理をするためには、専用のソフトなどを使うのが便利ですが、購入には結構な金額がすることや、最初のうちはどんな機能が必要なのかが分からないという場合もあります。年間の現場数が200件位迄であれば、まずはエクセルを使って管理してみるのも良いと思います。エクセルで管理を始めてみて、どんな数値(工種別や顧客別の収支、職長別の収支、自社と外注業者の歩掛など)が必要なのか、どんな機能が必要なのか、を把握してみたほうが良いです。

 

企業によって、現場数や取引先数、事務員がいる・いない、など状況が異なります。どんな数値をどんな方法で管理することが、一番かんたんに利益を増やせるのかを考えてみましょう。【小規模建設業】エクセルで経営数値を「見える可」

3.上得意先に依存しすぎないための「分散化」

【売上3億円】なんとなく不安や違和感を感じ始める時期です。
経営数値が見えれば、素早い意思決定とリスク分散ができる!
もうすでに数値管理の仕組みが作れている企業であれば、どの現場、どの顧客、その工種が儲かっているのかは、すぐにわかるはずです。利益率の高い顧客や工種の売上を伸ばして、赤字の顧客や工種は改善する(改善できなければ撤退も考える)といった意思決定も素早くできます。また、顧客別の売上高や売上推移なども把握できているはずです。

 

下請け仕事が多い企業の場合、知らず知らずのうちに1社の顧客に売上を依存していることもあります。そうすると、その顧客の業績悪化や、受注のストップ、値引き要請といった顧客の都合に、自分たちの業績が大きく左右されてしまいます。

 

ある中小建設会社では、大手企業1社からの仕事の割合が徐々に高まり、全体の売上高の50%弱を占めている企業がありました。顧客である大手企業の売上高とその中小建設会社の売上高の推移を見てみると、顧客の業績に大きく左右されていることが分かります。

4.社長が見栄を捨てれば、すぐにデキル!「身軽化」

決算が黒字でも借入金を返済できているとは限らない。
中小建設会社だと、決算が黒字であれば借入金も返済できていると思っている社長も多いようです。前期決算の業績で借入金が返せているのかどうかを、以下の式で簡易的に計算してみてください。

 

CF=当期純利益+販管費の減価償却費+原価の減価償却費−前期1年間の借入金の元金返済額

 

計算した金額(CF)がプラスなら借入金の返済ができているということになります。反対にCFがマイナスなら、借入金の返済が追いついていないため、このままでは資金が底をついてしまいます。借入金を返すために借入をしているといった悪循環に陥っている場合もあります。早急に利益を増やしてCFをプラスにしないと経営危機に陥ってしまいます。利益を増やすためにすることは、@売上を増やす、A費用を減らす、@Aの両方、のいずれかです。

 

悪化した経営を改善するには、固定費と資産の縮小が即効薬!
固定費を削減するために、不要な不動産や車などを売却したり、事務所を縮小したりする必要があるのですが、実際にはなかなかできません。それはなぜか?事業の成長を味わってしまった社長の心の中にはミエが生まれるからです。会社を縮小したら周りから何を言われるかわからない、自社ビルの売却は恥だ、社長が軽自動車では・・・。これらは全部、世間の目を気にした社長のミエではありませんか?そのミエを押し隠すために、「そのうち何とかなる!」と思い込んでしまうのです。これが手遅れになる要因の一つです。

5.社長の意思を実現するための「組織化」

【売上5億円超〜】さらなる成長を目指して!
人の悩みも増えてきます・・・。
この規模までくると、社長は組織や社員に対する悩みが大きくなるのではないでしょうか。社内には、工事部や営業部、経理部などの部署ができているかもしれません。創業当時は社長がすべての業務をしていたと思いますが、組織ができれば、各部署の社員たちが実務は行ってくれます。しかし、社員は増えたが、思うように働いてくれない。あんまり厳しく言うと嫌われるかも、辞められでもしたら・・・。中小企業の経営者は、やさしい人が多いです。従業員も家族のような存在であったり、辞められると大変なので気を使ったりと・・・。

 

それでも、事業が思うようにいかなくなると、その責任を社員のせいにしたがる社長もいます。なんでこんな簡単なことができないんだ!何回言えばヤルんだ!もっとヤレないのか!?言葉では言わなくても、社長の頭の中では、このような感情が大きくなっていきます。社員に問題意識を強要したり、危機感を押し付けたりし始めますが、社員に心理的リアクタンスが働き、やる気をなくしてしまうといた逆効果になることも多いです。反対に社長が社員に気を使いすぎて、言うべき事を言わなくなると、信頼関係は悪化することが多いです。従業員からすると、社長が何を考えているのかわからない、この会社はどこへ向かうのかが見えない、といった不信感を抱き始めるわけです。ワンマン社長だから社員に嫌われるわけではない。社長にしかできない仕事がリーダーシップです。

6.管理貧乏にならないための「簡素化・仕組化」

数値管理をしないで利益を出し続けられるのなら、それが一番いい!?
ここまで、売上規模ごとの問題点や対策を書いてきましたが、数値管理をすることが目的ではありません。社長が数値管理を重視し過ぎて社員に対して、あれもこれもと要求が増えていくケースもあります。そうすると、社長や社員が数値の管理に労力を使い過ぎてしまい、現場が疎かになってしまうことも考えられます。数値管理が負担になって利益が減ってしまったのでは本末転倒です。現場で利益を出すのが建設業ですから。理想は、数値管理を一切しないで、ラクして利益を出し続けることができるのなら、それが一番いいわけです。しかし、私はそういう企業を見たことがないので、やはりある程度の管理は必要なのではないかと思っています。

 

その管理は何のためにするのか?本当に必要か?メリットがあるのか?といったことを常に考えておく必要があるのではないでしょうか。そもそも企業は顧客のため社会のためになることをして利益を得るわけですから、その仕事は顧客のためになるのか?顧客にとってはどっちが良いのか?最終的な判断はコレに尽きると思います。

「売上は増えているのに、何か違和感を感じている社長様へ」
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